第54年次地方自治研究集会

区議や区民と大規模災害時の災害廃棄物対策を考える

8月20日(日)、東京清掃労組は、第54年次地方自治研究集会を自治労会館で開催しました。東京清掃の組合員に限らず、区議会議員や区民、東京自治研センターの方を含めて全体で135人の参加を得て、白熱した議論で盛会となりました。集会の主な課題は、災害廃棄物対策でした。首都直下型地震が30年以内に起きる確立は、70%と言われています。今、この瞬間に起きても不思議ではありません。ありとあらゆる想定の下で備える必要がありますが、各区が喫緊の課題として認識しているのか疑問です。特別区災害対策ガイドラインに沿って、各区で災害廃棄物処理計画や作業マニュアル、地域防災マニュアル等を策定することになっていますが、各区の動きは鈍く、策定されていても区民や職員に周知されていない区がほとんどです。清掃事業の収集・運搬部門は、2000年に東京都から各区へ移管されました。自治体固有事務である清掃事業を移管することで、特別区を普通地方公共団体として位置付けるための、いわゆる地方分権改革としての区移管でした。しかし、ほとんどの区は退職不補充方針で新規採用をせず、不安定雇用に苦しむ非正規労働者の多用が進む一方です。こういった災害廃棄物対策を見ても、各区が主体的に責任を持って清掃事業に向き合っているとは思えません。この日の自治研集会は、東京清掃が問題提起を行うことで、幅広い議論を喚起し、区民が少しでも安心できる災害廃棄物対策の策定を実現することを目的としたものです。

特別講演として、熊本市職労現評清掃部会の上田二三男さんを講師に招き、昨年の熊本地震の実体験に基づいて、自治体職員による処理体制の必要性について、詳細な報告をいただきました。
熊本市では、直営が全体に占める割合は5割となっています。委託地域の廃棄物処理の進み方は、直営地域に比べて大きく遅れを取ったことが報告され、自治体が責任を持って廃棄物処理を進めることの重要性を指摘されました。
参加者からも、仮置き場の設置のことや廃棄物の衛生処理等について多くの質問が出され、災害廃棄物の処理についての関心の高さが伺えました。

午後のパネルディスカッションでは、江東区の中村議員と千代田区の小枝議員、板橋区担当中執の萩原さん、一組総支部書記次長の佐藤さんをパネラーに、野﨑常任中執をコーディネーターとして各区の廃棄物対策の進捗状況について議論が進められました。
各区の対応の鈍さはどこに問題があるのか、清掃事業の区移管は本当に地方分権改革(各区の清掃事業に対する責任)に繋がったのか等、会場との質疑を含めて活発な議論が展開されました。

一日開催の自治研集会は、会場の都合もあり17時に終了となりました。災害時の廃棄物対策は、重要な課題であることは論を待ちません。
自らの労働条件の改善だけに留まらず、こういった社会的な課題についての政策提言と実現に全力を傾注することも労働組合の大きな責任です。社会的労働運動の追及、自治研活動の強化は、東京清掃労働組合の存在意義をかけた大きな取組みです。災害廃棄物対策を主な課題としながらも、多くのことを考える契機となった実りある集会となりました。